〜2004.3.19の夢

あるホテルで、あるカルチャーセンターの各教室のデモンストレーションが行われている。なぜか私もそこにいて、どこに入ろうかとわくわくしながら各部屋を巡っていた。

「太極拳」という教室があり、どんなだろう?と入ってみると、いつの間にか私の両隣に講師と見られる二人が、白い道着のようなものを着て正座している。一人は“四白眼(よんぱくがん)”の30代ぐらいの男性で、もう一人はその弟子らしい。私はあわてて、講師に向かって整列している十数人の受講生の後ろのほうに紛れるように移動した。
間髪を置かずデモ演習がはじまり、講師の吐く異様な迫力に満ちたエネルギーで場内の空気がはりつめる。四白眼はますます狂気を帯びて大きく見開き、受講生たちは講師と一体化して一糸乱れず刃物のように鋭く動作する。
<・・・ここから逃げよう!>そう思った瞬間、講師は私を指して、「住所!!」と絶叫する。四白眼は私を捉えて離さない。会場の空気は異常なスピード感と緊迫感で限界まではりつめている。私が口を開き、一音発声したその瞬間、講師は「次っ!なまえっ!」と私の後ろの受講生を指す。振り返るとそれはなんと私の友人だった。
友人が名前を言い終わると、講師は弟子に持ってこさせた掌に載るぐらいの電池のようなものを眼を血走らせながら大きく上下に振りはじめた。するとその電極から強い酸性の液体がしたたり(※)、彼の腕を濡らすと同時に煙を出して皮膚を焼く。そして講師は同じものを私に手渡した。その狂気から逃げることができず、私は同じ動作をした。鋭い痛みが走り、腕には一筋の火傷のあとができた。
そこまででなんとか許されたらしく、すぐに会場を抜け出して、エスカレーターを駆け降り、できるだけ遠くへ走った。休憩所のような一角にたどり着き、ほっと腰を下ろすと、さっきの友人がいた。「なんであそこにいたの?」「心配だからついてきた。」「・・・わかってたの?」「わかってた。」友人は悲しそうに私の腕の傷を見ていた。

休憩所の隣の和室では、お揃いの、時代劇に出てくるご隠居さんのような頭巾と胴着(夢では渋い緑系の織物だった)を着た“ちいさいおじいさん”たちが、宦官のように、秘めやかに怪しげな笑顔を交わしながら、俳句を詠んでいた。(おわり)


(※)目覚めてから気づいたけど、「ファイトクラブ」でブラピがやってたアレの記憶が影響したものと思われ。